【雑記】「無償」という言葉の話
最近、無償がどうのこうのという話をよく聞くので。
momoko-i.hatenablog.com
あと、某元芸人で『プロ絵本作家』の騒動も踏まえて。
ざっくりとこんな話。
- 少なくとも自分は入り口としての「無償」、価値を理解して貰ってからの「有償」がベストというスタンス
- プロがむやみやたらに無償にすることは、短期的な利益になっても長期的なものにはならないのでは?
「無償」って簡単に言うけど
個人的なスタンス
自分のスタンスを先に。
- 二次創作(同人)は「無償」にて提供(物販の場合は原価相当程度に設定)
- 一次創作(オリジナル)は大元のコンテンツにより「ボランティア」による「無償」、付随するコンテンツ(手間のかかるもの、特に楽譜等)は「有償」
- 入り口として「0円」にはするものの、どちらかというとボランティア価格。自分にとってはお金を払う価値のあるもの
ここでややこしく感じる人もいらっしゃると思いますので「ごく個人的な用語の定義」をまとめます。
- 無償:0円で引き受けること、自主制作すること
- ボランティア:利益を得られるサービスの質を持ちながら、「善意により」それを0円(もしくは安値)で提供すること
- 有償:コンテンツに価格を設定して利益を得るために提供すること(質は前提にしないが、相応の設定があると望ましい)
- 二次創作:オリジナル(原作)から派生して制作された作品。通常、利益を抑えるか、出た分の利益を原作者に還元することが多い(らしい)。
- 一次創作:オリジナル作品(原作)を指す。特に、商業のものを「版権(作品)」と呼ぶ。
一次創作や二次創作のうんたらかんたらは、過去の記事をご参考までに。
urahito-solution.hatenablog.com
このくくりで言うと、サービス残業はボランティアには含まれませんし、東京オリンピックのボランティアとかも「無給労働」だよなと感じていたり。
まあそれはさておき。
「無償」がはびこりすぎて、デフレで済む騒ぎじゃない
先に書いたとおり、自分のスタンスとしては「入り口」としての「無償」(上の定義だと実質ボランティア)という位置づけなので、楽譜のPDFなど手間がかかっているもの(実際数日かかる)は「有償」にすることが多いです。
とはいえ、ニコニコでの文化を考えて、メロディーの譜面は「ボランティア価格」(not 無償)にしてます。フルスコアもあるけど、耳コピという手間をかければ十分代替できる(不可能ではない)作業なので、こちらは「有償」。
相場ってありますけど
『某プロの絵本作家さん』が「派手にやらかした」(と個人的には思っている)、売れている本を無償公開(本人の感覚からすればボランティアなのだろうけど)した騒動。
あれも含めてなんですが、いくら見てほしいからといって(共作している人の有無にかかわらず)「無償」にしてよいものではないというのが、個人的な考えです。
というのも、プロ・アマチュアそれぞれの相場があって、プロは生活費にするための価格設定、アマチュアは活動を続けられる程度の価格設定をすることで棲み分け出来ていたところを、プロがアマチュアに合わせる形で価格を下げてくるのは、(特に「プロなのに無償でやる」点において)プロの相場を(どころか0円なのでアマの相場も)悪くする、破ってはいけない壁だったと思っています。
逆に言えば、個人的な考えだと、アマチュアでも(一次創作においては)プロ並みの質を出されていれば、プロ並みの価格設定でも問題ないと考えています。むしろ、アマチュアがプロに合わせていく方が良い、とも。(入り口としての「無償」の観点で言うと、別に絶対にそうすべき、とは思いませんが)
相応の価値と責任の持ち方って大事
プロ・アマ問わず、十分な質のサービスを提供する側はそれ相応の価値を設定すべきと考えています。本来、サービスの質はプロ・アマの壁は無いはずなので。
ただプロには十分な質のサービスを提供する「責任」が生じます。趣味ではなく、実際バイトとかで働いてみると、提供しているサービスに見合う給料が入っていないと不満ですよね。逆に言えば、お金を支払われた以上(あるいはそれを約束されている以上)、「責任」はつきまといます。
件の騒動も、原作からイラストまで全てやっているなら納得は出来るものの、出資してもらって出版し続ける「責任」が生じているにもかかわらず、それを放棄するに等しいように見えますし、それだけならまだしも、プロの相場を下げ(絵本としては確かに高かったようにも思いますが、芸術作品としては相応?)、イラストを手がけた方の「責任の価値」を貶める(その報告のブログ記事においてそうとも取れる発言があったようですが)ことになりかねないことだと思うので、この件に関しては、
- しっかり関係者(特に自身の持たない技術を提供している人たち)には根回しや追加の出資はしたのか
- プロであることを放棄するつもりなのか(絵本ですから、0円ではなく安価での販売ならまだ納得は出来ますが)
という2点に関して、本人からの納得のいく説明が求められるものと考えています。
そうでなければ、相場を簡単に悪くしたことで、後でまた自分がそれでちゃんと稼ごうとしたときに、自分で自分の首を絞めることになりかねない(相場を戻しづらい)と考えているので、本人についても少し心配です。(本人にとっては、自身については十分な利益が得られたから問題ないとでも考えているのでしょうが……)
改めて自分はどうかっていうと
他人のことは一旦さておき、「良い」と思ったらカンパがあると嬉しい
まだ自分の作品の価値が相場の中ではどうなのか、よく分かっていないというのも大きいのですが、少なくとも「スカ」においては、「自分にとっては価値がある」と思っているので、本当であれば全部有償にしたいくらいです。
とはいえ、「スカ」を知ってもらうために「ボランティア価格」で入り口に入ってもらう、という考えでいます。
趣味で好きにやっているのに
一方で、「お金を払えば、自分の好みの要望を言ってよい」という精神を、趣味の作品にあまり持ち込まれたくないので、そういった「責任」の生じるようなサービス(パトロン系サービスとか、定額課金制のもの)にものすごく抵抗を感じます。
でも、「自分のために無償で作って!」という要望の方がずっと大嫌いなので、ボランティア価格で全部情報を出すというつもりも一切ありません。(そもそもDTMソフトとかお金かけてやってますし、それくらいの元はとりたいです。大嫌いとは言いましたが、親しい人ならむしろ進んでやるので話は別です)
であれば、基本的に無料だけれども、単品ごとに「価値があればお金を支払う」というスタイルの方が、あまり「責任感」を感じずに楽でいられるので(たぶん買い手も気が楽なはず)、しばらくはこのスタンスで行きたいです。
別に無償でもいいんですが
それは自分で楽しむだけなら、の話です。好きだから自分の責任のもとでやっているのであって、責任取らせて好き勝手言って、というのはちょっと。(語弊あるかも)
まとまらなくなってきたので
本日はここまで。明日以降、何か思いつけば追記します。