LGBTは「恋愛の向き」だということを知っておきたい話
LGBTは「恋愛の向き」だということを知っておきたい話
この記事を見て、「市場じゃないでしょ」と思わず思ったので、個人的な考えをまとめてみようと思います。
100兆円市場! 我らの隣人「LGBT」を見よ | プレジデントオンライン
自分なりの説明ゆえ、言葉足らずになっている箇所があるかもしれませんが、ご指摘頂ければと思います。
そもそも「好きになった人が同性だった」という、主語が逆の話
自分なりにまとめた話もあるのですが、まず千葉市の公開しているPDFをご覧ください。
(持論の部分にかなり近いまとめ方をされています)
1.「LGBTを知りサポートするためのガイドライン~誰もが自分らしく生きることを認め合う社会へ~」(概要版)
(これは概要版ですが、2ページ目左の図が理解しやすいです)
このように、ある種「パラメーター」(要素)のように考えると、どちらかに偏る傾向にはあるとはいえ、中には「人それぞれ細かい違いがある」ことが分かるかと思います。
そのため、必ずしも「ゲイの人だからこうしなければいけない」ということは、必ずしも正しいわけではないようです。
また、LGBTコミュニティの中でも、「権利を認めてほしい」と積極的に活動する方と、「別に差別さえしなければいい」という消極派もいるそうです。
(便宜的に2派に分けていますが、「部分的に認めてほしい」という方もきっといらっしゃるでしょう)
消極派の場合
その消極派の記事が例えば上のようなもの。
その辺をぶらぶら歩くのに、ちょっと手を繋いでいても無視してくれるくらいの、そんな感じで良かった。目で見えるところで悪口を言ってきたり、大声で罵倒するとかでなければ、自宅に帰って『今日、女同士で手繋いでる奴がいてさ、まじキモかったわwww』とか話のネタにしてくれるくらいで全然良かった。
この内容から、「そもそも差別とか不当な扱いしなければよい」というだけの話なのかもしれません。
もちろん、差別されないために、不当な扱いをされないために、そうやって活動する方がいらっしゃるのも、認めておかなければなりません。
そして、それを実現するために、様々な経済・広報活動が行われることも、多少政治的になることも、今は必要なのだと思います。
ただ、記事の中で表現されていたように、周囲からの反応が「異常」から「当たり前(そういう人もいるよね)」くらいになればよいだけの話ではないかと思います。
決して、「何かを乗り越えるような感動ポルノ」にされるのは、間違いだと思います。
障碍者の話だってそうですし、そもそも障害になっているのが、そうして取り上げる人の印象が強いのは、差別でしょうか。
持論の部分
さて、持論についても一応触れておきたいと思います。
基本的には、「人物相関図」を思い浮かべて頂ければ問題ないと思います。
パラメータだけでは説明しにくいところがあるので、まずは「恋愛の向き」に絞って説明します。
Aさんの性別は不明として、例えば「男性も女性も好きになる」のであれば、Aさんが仮に男性でも女性でも「バイセクシュアル」の要素があると考えられます。
しかし、あくまで「両方好きになる」可能性があるだけであって、「どちらかといえば男性寄り」ということもあり得ます。
(少しずれるかもしれませんが、甘党の人が辛いものをまったく食べないわけではない、みたいな話です)
ただ、正確には「恋愛の向き」だけでは説明しきれないところがあります。
もし、Aさんが仮に男性を好きになり、心で自覚している性別(性自認と言います)が女性だったとしたら、外見がどちらであっても、「恋愛の向き」としてはむしろ一般的にも捉えられるのではないかと思います。
「性自認」は「恋愛の向き」とは異なりますが、どちらも心に影響されるものであり、決して無視できない要素ともいえます。
千葉市のガイドラインにある要素を簡単に分けるのであれば、以下のようになるかと思います。
(これまでの「恋愛の向き」という表現は、正確には「性的指向」と呼ばれています)
また、各要素の「向き」に着目すると、次のようになるでしょう。
マトリクスにすると、こうなります。
本人 | 他人 | |
---|---|---|
外見 | 身体的な性 | 性別表現 |
内面 | 性自認 | 性的指向 |
持論としては、もっと細かい部分はありますが、概要としてはこれでおおむね理解しやすくなると思います。
これをもとに、一般に説明される「LGBT」を説明すると、
のようになるかと思います。(「LGB」の方々の説明で、「性自認」「身体的な性」で迷いましたが、恋愛に関しては内面の世界の話なので、ここではこのように表現しました)
そもそも差別が無くなる気がしない
人間、どこかしらの部分で、今はそうでなくても過去に、「あいつは●●だから、自分の方が優れているはずだ」と言葉にせずとも、似たようなことは大小あるかもしれません。
とはいえ、あまりにも個人的な、プライバシーに関わる部分に関して、嘲笑したり、それをもって不利益を押し付けたりすることは、一般に「差別」と呼ばれます。
この話を追いかけているのも、対象こそ違いますが、一応「オタクの要素を持った人間」としては、とても気になるからです。
これについては、いろいろ複雑なので説明しきれませんが、「アニメや漫画が部屋にあったからといって、犯罪の原因の1つとするような報道」というのは、今でも耳にすることはあると思います。
他に、例えば「いじめ」問題なども、自殺に至るケースや、暴行など明らかに犯罪を犯しているケースがあるにも関わらず、必ず罪に問われるわけでもありません。
また、「オタク」という要素に対する「差別」と呼ぶべき表現も少なくはなく、それが「いじめ」につながりやすいこともあり得ます。(それ自体が蔑称とされた時期もあり、特に10年くらい前まではそうだったように思います)
確かに、「異質で危険」とするものを排除するのは、理解できないことではありません。
ただ、一部の人物や集団の起こした行為に対して、該当する全体がそうであるように言いふらすことは、良いことではないと思います。
社会全体に、自然と「そういう人たち(少数派)がいる」ということを知るようになれば、危険だと感じたりして、無神経にそのようなことを言うことはないと思います。
でも、「知っていられること」にも限界はありますし、知っていたとしても、一定数の人は差別をするものとして考えねばならないのですが。
他にも
杉田水脈氏「LGBTは生産性がない」発言が物議を醸す - ライブドアニュース
恋愛観がどうであれ、例えば里親などに認定されたケースもあるので、決して「生産性がない」(そもそも言葉足らずですが)ということはありませんし、納税者として働く人も多いです。
関連ニュースを見ても、様々な立場の人がかかわっていることが分かります。
養育里親:男性カップルを大阪市が全国初認定 - 毎日新聞
会社でゲイをカミングアウトした私が、世の中の経営者・マネジャーに伝えたいこと | 未来を変えるプロジェクト by DODA
まとめ
途中に挙げたように、特に自治体のガイドラインを確認するだけでも、最低限の知識が得られます。
知識を得ることによって、不用意に差別をしてしまうことを防ぐことも出来ます。
そしてこれは、あくまで「恋愛の向き」の話なので、子供が出来るケースもゼロではないですし、里親になって子供を育てることができます。なので杉田議員の仰るところの「生産性」がないとは、必ずしも言えないことになります。
これが労働生産性の話であれば、当然これも直接仕事の効率には影響しません。(人間関係のトラブルも考慮すべきかもしれませんが、知識を得ることによって予防・緩和できます)
それに、LGBTの方でなくても、「いつ子供作るの?」という話題はプライベートな要素が強いですし、他方で、異性カップルがそうであるように、LBGカップルが「誰にでも好きになるから性行為に及ぶ」ということはなく、セクハラ発言として捉えられてもおかしくないと考えます。
そして何より、LGBTだからといって、「人によって、認めて欲しい・そっとして欲しいという基準は異なる」ので、個々の意思を尊重する事が大事なように思います。
また、そもそも「子供を作らなければ生産性はなく、生産性のない人に価値はない」というのは、LGBTの方々以外にも大変失礼な言い方になるので、批判されてしかるべきものだと思います。